Q 当社は小売業を営んでおり、土日祝日が忙しいため、パートタイマーについては平
日と土日の時給を分けています。この場合、土日祝日に8時間を超える労働をさせた場
合、どのように残業代を計算すればよいのでしょうか?
一例を挙げますと、平日=800円、土日祝日=1,000円となっています。
A 時間外割増の計算単価は
『通常の労働時間又は労働日の賃金』がそのベースとなり
ます(労働基準法第37条)。
そこで、土日祝日に時間外労働をさせたときの通常の労働時間又は労働日の賃金が、
時間単価700円か1,000円のいずれかというご質問ですが、特に就業規則や労働契約で定
めていない限り、1,000円ということになります。
ですので、割増賃金の計算に含まれるその他の手当がないことを前提とすれば、土日
祝日に法定労働時間を超えて働かせたときは、時間当たり1,000円×1.25=1,250円
の割増賃金を払う必要があります。
ところで、特に就業規則や労働契約で定めていない限りと前置きしたのには理由があ
ります。 実は、割増賃金の時間単価を計算するときには含まなければならない賃金や
手当と、含まなくて良い賃金や手当があります。含まなくて良いものは、
@家族手当
A通勤手当
B別居手当
C子女教育手当
D臨時に支払われる賃金
E一ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
F住宅手当
※それぞれ名称でなく実態で判断します。例えば住宅手当であっても一律○万円とか、
独身○万円、その他○万円といった、住宅以外の要素によって決定されるものは時間単
価を計算するときに含むことになります。
また、割増賃金も含みません。
そのため、就業規則や労働契約書に時間単価を平日の時間給とすること、土日祝日と
平日の差額について、割増分を含むことを明確にしておくこと、この2つの要件が満た
されているのであれば、土日祝日に労働させても時間単価は700円となります。もちろん
土日祝日の賃金が平日の1.25倍に満たないときは、差額の支払いが必要になります。
同様に、例えば日曜日を法定休日としておいて、日曜日の賃金を平日の1.35倍以上に
定めているのであれば、日曜日の時間外労働についても割増賃金の支払義務はありませ
ん。
なお、今までこのような定めをしていなかった事業所が、このページを見られるなど
して急遽定めをする場合には、労働条件の不利益変更の問題が発生しますので、労働者
の一人ひとりの同意を得ること、さらに不利益変更を行うときの要件(就業規則Q&A
−就業規則改訂による労働条件の不利益変更−をご参照ください)
を満たさなければな
りません。さらに、就業規則が周知されていることも必要です。