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表彰・制裁Q&A−懲戒解雇者に対する退職金不支給−


 先日、お客様から当社が有している顧客リストが流出し、それからスパムメールや
ウィルスメールが届き始めたとの苦情が届きました。調査してみると、ある労働者が顧
客リスト(電子メールアドレスや年齢、性別、住所、電話番号などの情報を記載してい
ます。)をいかがわしい者に販売し、不正な利益をあげていたようです。当然、この者
は懲戒解雇することになりましたが、就業規則の定めにより退職金不支給を伝えると、
退職金は賃金の後払い的性格も有しており、それを不支給とすることは労基法違反だと
言ってきました。どのように対処すべきでしょうか?


A 原則、退職金を定めたときはこれを支払わないことはできません。しかし、懲戒解
雇によって制裁を課すときは話は別です。それは退職金が功労報奨的性格を有している
ためです。反面、この労働者が言うように、賃金の後払い的性格も有していますので、
懲戒解雇だからすべて退職金を不支給にできるかというと、そうではありません。

退職金の全額を失わせるに足りる懲戒解雇の事由とは、労働者に永年の勤続の功を抹消してしまうほどの不信があったことを要し、労基法二〇条但書の即時解雇の事由より更に厳格に解すべきである。(橋元運輸事件 1972.4.28 名古屋地)

と、その適用はかなり厳しいものとなっていますが、できないとはしていません。

最高裁でも三晃社事件で、
支給額を一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることも、本件退職金が功労報償的な性格を併せ有することにかんがみれば、合理性のない措置であるとすることはできない。この場合の退職金の定めは、制限違反の就職をしたことにより勤務中の功労に対する評価が減殺されて、退職金の権利そのものが一般の自己都合による退職の場合の半額の限度においてしか発生しないこととする趣旨であると解すべきであるから、右の定めは、その退職金が労働基準法上の賃金にあたるとしても、所論の同法三条、一六条、二四条及び民法九〇条等の規定にはなんら違反するものではない。
と、退職金の半額を支給制限した処置を認めています。
 重大な刑罰に該当するようなケースや引き抜きなどで会社に多大な損害を与えたとき
は全額不支給も認められやすくなると考えますが、単なる経歴詐称や二重就業などでは
そもそも懲戒解雇そのものが成り立つかも不明ですので、たとえ懲戒解雇が成り立った
としても一部不支給が相当ではないかと思われます。なお、退職金不支給や減額は、あ
くまでも個別のケースで判断すべきですので、こんなときは不支給にできるとは言えま
せん。タクシー乗務員が退職日までの間に最低7乗務しなかったことによる退職金不支
給を認めたケースがありますが(大宝タクシー事件 1983.04.12 大阪高)、補助的な業
務しかしていないパートタイマーが退職日まで一定の期間働かなかったからといって退
職金を不支給にできるかというと疑問が残ります。競業避止にしても、役員クラスや、
独自の技術や営業ノウハウなどを持った者には不正競争防止法の適用により、退職金の
減額もできると思われますが、その他の一般社員には難しいと考えます。


 今回のケースでは退職金を不支給とすることは可能だと考えますが、あくまでも決定
するのは裁判所です。訴えが起きて初めて議論すべき問題ですので、会社にとって重大
な不信行為であると考えれば不支給の措置をとられるべきでしょう。なお、会社が何ら
かの損害を被ったときは民事訴訟による損害賠償も求めるべきです。この損害賠償は退
職金とは相殺されませんので、退職金を不支給とした上で損害賠償を求めることができ
ますので、弁護士の先生に一度ご相談ください。



⇒減給の制裁


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